持続可能な未来を目指すスペインのホテル:エネルギー効率からリサイクルまで

植林活動、地産地消、社会的責任──スペインのホテルが進めるサステナブル革命

スペインのホテル業界は、持続可能性、エネルギー効率、社会的貢献を融合させた新たなモデルへと進化しています。再植林や廃棄物削減・排出削減を目的としたサーキュラーエコノミーの導入など、ホテルチェーンは環境と地域社会の双方に利益をもたらす革新的な取り組みを展開しています。再生可能エネルギーの利用から、包括的な教育・雇用プログラムまで、より責任ある競争力の高い観光へと歩みを進めています。Casual Hotelesでは、清掃サービスを辞退した宿泊客の分を「カジュアルの森」の植林費用に充てるプログラムを実施。場所は、かつてスペイン無敵艦隊の造船のために伐採されたテルエル県ペラレス・デ・アルファンブラです。わずか6か月で1,000本以上の木が植えられ、地域の雇用を生み、CO₂吸収にも貢献。小さな選択が具体的な環境インパクトをもたらしています。

わずか6か月で、カジュアル森では1ヘクタールの面積に成長し、1日あたり約3本の新しい木が植えられている。これまでに3トンのCO₂を吸収
わずか6か月で、カジュアル森では1ヘクタールの面積に成長し、1日あたり約3本の新しい木が植えられている。これまでに3トンのCO₂を吸収 © Casual Hoteles

Paradores de Turismo(パラドール)は、環境保護への取り組みを強化しています。「1 m² against littering (ゴミ1㎡撲滅)」キャンペーンを通じ、従業員と宿泊客が一体となって自然保護活動や清掃イベントを行っています。Grupo Piñero(ピニェロ・グループ)は、年間約200トンのプラスチック廃棄物を削減するため、使い捨てプラスチックの撤廃を推進。リユース素材の利用促進や、ボランティア・教育活動による環境意識向上に注力しています。Vincci Hoteles(ビンチ・ホテルズ)は、ネスプレッソのコーヒーカプセルの出し殻を肥料として活用し、その肥料で栽培した米をホテルのレストランで使用する「サーキュラーライス(循環米)」プロジェクトを展開。マドリードバルセロナセビージャなどの店舗で導入され、廃棄物に新たな命を吹き込み、持続可能な食体験を提供しています。

Vincciの全レストランでは、少なくとも1品が「循環米」で作られており、専用アイコンと説明がメニューに表示されている
Vincciの全レストランでは、少なくとも1品が「循環米」で作られており、専用アイコンと説明がメニューに表示されている © Vincci Hoteles

Six Senses Ibiza(シックス・センシズ・イビサ)では、宿泊客がアース・ラボでのワークショップや自社農場での収穫・種まき体験に参加でき、自然や地域文化とのつながりを育みます。この体験を通じて、消費を抑え、地域社会を支援し、日常生活にも応用できるサステナブルな習慣を伝えています。さらに、テネリフェラ・パルマラ・ゴメラエル・イエロのホテル協会では、「サーキュラーツーリズム・コミュニティ」プロジェクトを展開。ホテルのバイオ廃棄物を堆肥化し、その肥料で栽培された果物や野菜を再びホテルが購入するという循環型モデルを実現しています。また、省エネルギー証明制度(Energy Saving Certificates )を導入し、ホテルが節電・効率化の成果を可視化・収益化できる仕組みを整備しました。