カンタブリアとそのインディアノの遺産:建築とルーツをたどる旅

コミージャス、サントーニャ、ソラーレス、アレドンドなど、インディアノス(新大陸からの帰郷者)の足跡が残る町を巡る

カンタブリア州では、19世紀から20世紀にかけて新大陸へ移住し、成功を収めて帰郷うした人々(インディアーノス)が築いた宮殿や礼拝堂、邸宅、記念碑などに、その遺産が色濃く表れている。彼らは故郷を変革したいという思いを胸に帰郷し、家族の記憶や帰還として建築を残した。こうした建物を通して、成功や郷土愛、そして地域発展への貢献の物語に彩られた町々を知ることができる。 コミージャス、アレドンド、ソラーレス、サントーニャ、アネロといった町には、インディアーノスの時代を思い起こさせる建物や祝祭が今も残っている。帰郷した人々の思いは、個性的な建築や公共事業、慈善活動という形で具体化された。 なかでもコミージャスでは、インディアーノスの影響がひときわ顕著に見られる。コミージャス侯アントニオ・ロペス・イ・ロペスの存在は、この町を代表する建築群の建設を大きく後押しした。ネオゴシック様式のソブレジャーノ宮殿とその庭園、そして一族の遺骸が安置されている礼拝堂兼霊廟は、この時代の栄華を理解するうえで欠かせない場所となっている。さらに教皇庁立大学がこの壮麗な建築群を完成させている。 毎年開催されるインディアーノ祭では、当時の衣装や音楽、歴史再現を通して、その時代の雰囲気がよみがえる。

カンタブリア州コミージャスにあるソブレジャーノ宮殿の正面玄関
カンタブリア州コミージャスにあるソブレジャーノ宮殿の正面玄関 © Shutterstock

ペニャ・カバルガには、新大陸から帰郷した人々を称える記念碑がある。象徴的な価値を持つだけでなく、サンタンデール湾やこの地域特有の自然環境を一望できる美しい展望地でもある。 アレドンドは、「世界の首都」とも呼ばれている。ここから多くのインディアーノスたちが新大陸へ渡り、富を築いて戻ってきたからである。同地には、インディアーノスの遺産を語るうえで欠かせない建築が残っている。1860年にアントニオ・グティエレス・ソラーナの資金提供によって建てられた新古典主義様式の教会だ。谷の広い範囲から望めるその塔は、事業の規模の大きさと地域発展への強い思いを物語っている。 ソラーレスには、ラモン・ペラヨ・デ・ラ・トリエンテが推進し、現在は博物館となっているバルデシージャ伯爵の別荘という重要な建造物がある。その建物や庭園は、帰郷したインディアーノスに結びつく邸宅様式を今に伝えている。また、この町ではインディアーノスの祭りという地域の人々が参加する開祭りが催され、伝統を通じてその記憶が受け継がれている。 人気の高いサントーニャでは、フアン・マヌエル・デ・マンサネードによって建てられたマンサネード宮殿が、この遺産を代表する建築のひとつとなっている。現在は市庁舎として使用されており、その規模と意匠は、インディアーノスたちがこの町にもたらした経済的・社会的影響を如実に示している。 アネロには、メキシコ滞在中に受けた影響を思わせる設計や装飾が特徴のファジャ宮殿がある。 これらの町々は総じて、建築を超えた遺産を示している。カンタブリアにおけるインディアーノスの遺産は、帰郷者たちがどのように土地を変え、その地域のアイデンティティを形づくる文化遺産を残したのかを理解するための、歴史的・文化的な道のりとなっている。 所在地カンタブリア州はスペイン北部、カンタブリア海沿岸に位置する自治州である。主な玄関口はセベ・バジェステロス=サンタンデール空港。A-8号線およびA-67号線で各地と結ばれているほか、サンタンデール港からは定期航路が運航している。鉄道はRenfeおよびFEVEの駅があり、スペイン各都市と連絡している。